
開発組織50名でも、多言語化は外に任せる。サプライチェーンリスク管理SaaSを約1ヶ月で英語・中国語対応
株式会社Spectee
様
SNSや気象データ、河川の水位、道路・河川カメラ、衛星画像など多様な情報をAIで解析し、リアルタイムに危機情報を企業や自治体に届けている株式会社Spectee。2011年の東日本大震災をきっかけに生まれた会社で、防災・危機管理向けの「Spectee Pro」と、製造業向けのサプライチェーン・リスク管理サービス「Spectee SCR」を展開しています。
製造業のサプライチェーンは世界中に広がっていて、海外工場の担当者や海外の取引先もサービスを使います。顧客から「早く海外の取引先や海外拠点での運用を始めたい」との要望があり、多言語化対応が急ぎの課題になりました。
同社は業務委託を含めて約50名の開発組織を持ち、自社で開発することもできました。それでも多言語化は外部に任せると決めました。SaaSに組み込んだ背景と運用の実際について、取締役CTOの藤田様にお話を伺いました。
海外拠点や取引先も使うサービス。言語対応は必須だった
─ まず、Spectee様の事業概要と、今回多言語化したサービスについて教えてください。
藤田様: 当社のミッションは「危機を可視化する」ことです。SNSや気象情報など、さまざまな危機情報を集約・解析し、データ駆動型のレジリエンス社会の実現を目指しています。SNS情報は、AIによる解析と、専門チームによる人の目でのダブルチェックをしてお客様にお届けしています。
今回Autolingualを組み込んだのは、製造業のお客様向けの「Spectee SCR」です。製造業の現場では従来、災害が起きるとテレビなどで被害を知り、影響がありそうな取引先をExcelでリストアップして、一社ずつ電話で確認していました。大きな災害では調査に数週間ほどかかることもあります。この作業を自動化するのがSpectee SCRです。
─ 多言語化が必要になった背景を教えてください。
藤田様: 製造業のお客様は、ほとんどがグローバルに事業を展開しています。海外に拠点や取引先を持つお客様の場合、多言語対応が必要な場面は大きく二つあります。一つは、海外工場など現地拠点の担当者がSpectee SCRを使う場面です。付与されたアカウントでログインし、英語や中国語の画面で操作できる必要があります。もう一つは、海外の取引先に被災状況を確認する場面です。Spectee SCRから取引先へアンケートを自動配信しますが、回答画面が日本語のままでは回答してもらうのが難しくなります。
お客様から「来月から海外の取引先とも一緒に進めたい」と言われました。ただ、自社開発では、1カ月で対応するのは難しい状況でした。
開発組織は約50名。それでも多言語化は外に任せた
─ 自社で開発する選択肢もあったと思います。
藤田様: 開発組織は業務委託を含めて約50名です。ただ、その多くは当社のコアコンピタンスである、多種多様な危機情報を収集・分析し、データを構築する領域に注力しています。
一方、お客様が使う画面や機能をつくるプロダクト開発チームは、人数に余裕があるわけではありません。言語対応はお客様にとって必要ですが、当社が価値を発揮すべき危機管理領域の課題そのものではありません。そこは切り分けて、「任せられるところは強いところに任せればいい」と考えました。
多言語化は自社でもできなくはありません。ただ、メンテナンスがずっと続きます。英語以外の言語は、テストする側も正しいかどうかを判断しづらいです。認証基盤などを外部サービスに任せているのと同じで、外に出せるところはできるだけ出し、危機の可視化に集中したいと考えています。
─ 他の手段は比較されましたか。
藤田様: 最初に声をかけたのがAutolingualで、その後に他社サービスの話も聞きました。ただ、自由度が低く、当社の要件に合わせるとコスト面で折り合いがつかず、検討をやめました。組み込みやすさに大きな差はないと思います。決め手は、機能面での柔軟性とトライアルのときのレスポンスの速さです。サポート体制も含めて、Autolingualが当社に最もマッチしたソリューションだと感じました。
翻訳の調整もレイアウトの修正も、画面上で完結する
─ 実際に使ってみて、いかがですか。
藤田様: 自分たちで多言語対応すると、ビルドして見た目を確認し、文字が長すぎて崩れていればコードを直して、また確認する。この繰り返しに手間がかかります。Autolingualはブラウザのプレビュー画面からレイアウトを調整できるので、とても助かっています。こうした仕組みを自前で作り、工数をかけてメンテナンスし続けても、自社の競争力にはつながりません。
画像やアイコンを英語化したい箇所も、AIの機能を使ったり別の画像を差し込んだりする作業が、画面上で簡単にできます。通常の翻訳も表示がスムーズで、お客様を待たせることはほとんどありません。
─ 運用はどのような体制ですか。
藤田様: 最初の導入は私が担当しました。その後、運用方法をメンバーに伝え、今はメンバーが辞書登録をしながら翻訳を調整しています。管理画面も使いやすく、使い方に迷うことはありません。
もう一つありがたいのは、翻訳しない範囲を細かく指定できることです。サプライチェーンのお客様は、拠点や製品のデータを扱います。お客様からお預かりしている、非常に機密性の高い情報です。項目名はきちんと翻訳しつつ、お客様が入力した製品名や生産拠点は翻訳対象から除外する。ここをしっかり制御できることは、サービスとしてとても重要です。
約1ヶ月でリリース。次はベトナム展開にも
─ リリース後の反応はいかがでしたか。
藤田様: 自社で開発していたら3〜4ヶ月はかかっていたと思います。それを1ヶ月ほどで出せたので、お客様の満足度はとても高かったです。相談したことにもすぐ回答をもらえるので、サポート面もありがたく感じています。
─ 今後の活用についてお聞かせください。
藤田様: 今は、海外部門で使う一部のお客様が中心です。今後は翻訳のボリュームも増えていくと思います。
当社は海外にも展開していて、フィリピンに続き、今年はベトナムに進出しました。英語であれば社内である程度確認できますが、ベトナム語は合っているかどうか判断がつきません。そうした言語こそ、仕組みで対応できると便利だと思います。現地のお客様が見るページの多言語化も、これから必要になると考えています。