2025/4/30

カゴ落ち防止!多言語決済フォーム完全解説

カゴ落ち防止!多言語決済フォーム完全解説

「海外からのアクセスは増えているのに、なかなか購入に繋がらない…」 「決済画面で離脱されている気がする…」

越境ECやインバウンド対応を進める中で、このような悩みを抱えていませんか?その原因の一つは、「言語の壁」による決済フォームでの離脱、いわゆる「カゴ落ち」かもしれません。

この記事では、海外顧客の購入体験を劇的に改善し、売上アップに貢献する「多言語決済フォーム」の導入について、その重要性から具体的な方法、注意点、おすすめのサービスまで詳しく解説します。

「決済フォームの多言語化」「海外対応」に関心のある方は、ぜひ最後までお読みいただき、グローバルビジネス成功へのヒントを掴んでください。

越境EC構築における主な課題

近年、インターネットを通じて国境を越えた電子商取引、いわゆる越境ECに挑戦する企業が増えています。しかし、国内ECとは異なる特有の課題も多く存在し、事前の対策が成功の鍵を握ると言えるでしょう。ここでは、越境ECを構築・運営する上で直面しやすい主な課題について見ていきましょう。

物流

越境ECにおける物流は、国内配送とは比較にならないほど複雑性が増すものです。国際配送の手配はもちろん、関税手続き、各国・地域で異なる禁制品の確認、そして高額になりがちな配送料金と長いリードタイムは、顧客満足度にも直結する大きな課題です。適切な配送業者の選定や、追跡システムの導入、場合によっては海外倉庫の活用なども検討する必要があるでしょう。

言語

海外の顧客に向けて商品を販売する以上、言語の壁は避けて通れません。商品説明やカスタマーサポート、利用規約、そして本記事のテーマでもある決済画面に至るまで、ターゲットとする市場の言語への対応が求められます。機械翻訳の精度も向上していますが、文化的なニュアンスや専門用語の誤訳は企業の信頼を損ねかねないため、翻訳の質をどう担保するかが重要になってくるのです。

決済

海外顧客は、自国で慣れ親しんだ決済方法を好む傾向にあります。クレジットカード一つとっても、国際ブランドへの対応はもちろん、デビットカードや後払い、各国独自のオンライン決済サービスなど、対応すべき決済手段は多岐にわたります。また、為替レートの変動リスクや、国ごとに異なる決済に関する法規制、セキュリティ基準への準拠も考慮しなければならず、決済システムの構築は越境ECの大きなハードルの一つと言えるでしょう。

グローバル化時代に必須!多言語決済フォーム導入の重要性

越境ECやインバウンド需要の増加に伴い、多言語決済フォームの導入は現代のビジネスにおいて極めて重要になってきています。なぜなら、海外顧客が言語の壁なくスムーズに決済できる環境を提供することで、売上機会の損失を防ぎ、ビジネス成長を加速させることができるからです。

越境EC市場の拡大と海外顧客獲得のチャンス

世界的に越境EC市場は拡大の一途をたどっており、国内市場だけでなく海外の消費者へアプローチできる大きなチャンスが広がっています。しかし、どんなに魅力的な商品を用意しても、決済という最終段階で言語の壁があれば、購入をためらわせてしまうことになるでしょう。多言語決済フォームは、この壁を取り払い、機会損失を防ぐための鍵となります。

言語の壁が引き起こす「カゴ落ち」を防ぐ

多くのECサイト運営者が頭を悩ませる「カゴ落ち」。その原因の一つが、決済情報の入力画面が分かりにくいことです。特に海外顧客にとっては、母国語でない言語での入力はストレスが大きく、入力ミスや不安から購入を断念してしまうケースが少なくありません。決済フォームを多言語化することは、このカゴ落ち率を改善する上で非常に効果的な施策と言えるでしょう。

顧客体験向上による信頼とリピート率アップ

初めて訪れる海外のサイトでも、母国語でスムーズに決済まで完了できれば、顧客は安心感を覚え、その企業やブランドに対して良い印象を持つはずです。このようなポジティブな顧客体験は、信頼関係の構築に繋がり、リピート購入や好意的な口コミによる新規顧客の獲得にも貢献することが期待できます。顧客満足度を高める上でも、多言語対応は欠かせない要素なのです。

多言語決済フォームを導入する2つの主な方法

多言語決済フォームを実現するには、大きく分けて2つのアプローチが考えられます。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選択することが重要です。

【方法1】多言語対応の決済代行サービスを活用する

現在、多くの決済代行サービスが、標準機能として多言語表示に対応しています。StripeやPayPalといったグローバルで利用されているサービスはもちろん、国内の主要な決済代行サービスでも多言語オプションが提供されている場合があります。 この方法のメリットは、比較的導入が容易である点です。専門的な開発知識がなくとも、サービス側の設定や簡単な組み込み作業で多言語決済フォームを利用開始できることが多いでしょう。迅速に海外対応を進めたい場合に適しています。

【方法2】自社システムで決済フォームを多言語化する

自社でECサイトや決済システムを構築・運用している場合、そのシステム内で決済フォームの多言語化対応を行う方法です。 このアプローチの最大のメリットは、デザインや表示項目、入力フローなどを自社のブランドイメージや運用に合わせて、細部まで自由にカスタマイズできる点にあります。独自の顧客体験を提供したい場合には有効な選択肢となるでしょう。ただし、翻訳作業やシステム開発、継続的なメンテナンスに相応のリソース(時間・コスト・技術)が必要となります。

メリット・デメリット比較:どちらを選ぶべき?

どちらの方法が最適かは、企業の規模、予算、技術力、求めるカスタマイズ性などによって異なります。以下の表を参考に、自社の状況を考慮して判断しましょう。

特徴

決済代行サービス利用

自社開発

導入スピード

◎ 早い

△ 時間がかかる

導入コスト(初期)

○ 低い傾向

× 高い傾向

運用コスト

△ 手数料などが発生

△ 維持・改修コスト

カスタマイズ性

△ 制限あり

◎ 高い

開発リソース

◎ 不要

× 必要

セキュリティ

○ サービス事業者に依存

△ 自社で構築・維持

一般的には、開発リソースが限られている場合や、まずはスピーディーに導入したい場合は決済代行サービスの利用が、一方で、独自のシステム要件や高度なカスタマイズが必須な場合は自社開発が検討される傾向にあります。

失敗しない!多言語決済フォーム導入で押さえるべき5つのポイント

多言語決済フォームを導入する際には、いくつか注意すべき点があります。これらを事前に検討しておくことで、スムーズな導入と効果的な運用が可能になります。

ポイント1:ターゲットに合わせた対応言語の選定

「どの言語に対応すべきか?」これは最初の重要な問いです。むやみに多くの言語に対応するのではなく、自社サイトへのアクセス状況や、ターゲットとする国・地域の主要言語を調査し、優先順位をつけて対応言語を選定しましょう。Google Analyticsなどのアクセス解析ツールが役立ちます。

ポイント2:翻訳精度は大丈夫?機械翻訳と人力翻訳

決済に関する情報は、金額や支払い条件など、誤解があってはならない重要な内容を含みます。機械翻訳は手軽で迅速ですが、時として不自然な表現や誤訳が生じる可能性も否定できません。特に重要な箇所については、ネイティブスピーカーによるチェックや、プロの翻訳者による人力翻訳を組み合わせることを検討すべきでしょう。サービスによっては翻訳品質を選択できる場合もあります。

ポイント3:決済通貨と為替レートの明確な表示

海外顧客にとって、自国通貨でいくらになるのかが分からないと、購入のハードルが上がってしまいます。可能な限り、顧客の居住国に合わせた通貨で金額を表示し、適用される為替レートも明記することが親切です。これにより、価格に対する不安を取り除くことができます。

ポイント4:万全なセキュリティ対策は必須

クレジットカード情報などの機密性の高い個人情報を扱うため、セキュリティ対策は最重要項目です。利用する決済代行サービスが、国際的なセキュリティ基準である「PCI DSS」に準拠しているか、不正利用検知システムなどを備えているかなどを必ず確認しましょう。自社開発の場合は、脆弱性対策を含め、堅牢なセキュリティ体制を構築・維持する必要があります。

ポイント5:各国の法規制・ルールへの準拠

国や地域によって、消費者保護に関する法規や、個人情報の取り扱いルール(EUのGDPRなど)は異なります。ターゲットとする国の関連法規を事前に調査し、プライバシーポリシーの表示やデータ管理方法などを適切に対応させることが不可欠です。

【国別】代表的な決済サービス事例

グローバルにビジネスを展開する上で、ターゲットとする国や地域でどのような決済手段が主流なのかを把握しておくことは非常に重要です。ここでは、いくつかの国を例に、代表的な決済サービスやその傾向について触れてみましょう。

アメリカ

アメリカでは、依然としてクレジットカード(Visa, Mastercard, American Expressなど)の利用が根強いですが、PayPalのようなオンライン決済サービスも広く普及しています。近年では、Apple PayやGoogle Payといったスマートフォンを介したモバイル決済も急速に利用者を増やしており、多様な選択肢の中から消費者が自分に合った方法を選んでいる状況と言えるでしょう。

中国

中国の決済市場は、Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)という二大巨頭によって席巻されていると言っても過言ではありません。これらは主にQRコードを用いたモバイル決済サービスであり、実店舗だけでなくオンラインショッピングにおいても圧倒的なシェアを誇ります。中国市場への進出を考えるのであれば、これらの決済手段への対応はほぼ必須条件となると考えられます。

韓国

韓国は世界的に見てもクレジットカードの保有率・利用率が非常に高い国の一つです。オンラインでの商品購入においてもクレジットカード決済が主流となっています。加えて、Naver PayやKakao Payといった、国内の大手IT企業が提供するモバイル決済サービスも人気を集めており、利便性の高い多様な決済方法が消費者に提供されているのが特徴です。

主要な多言語対応決済代行サービスを比較検討

多言語対応可能な決済代行サービスは多数存在します。ここでは、代表的なサービスをいくつかピックアップし、その特徴をご紹介します。自社のビジネスモデルやターゲット層に最適なサービス選びの参考にしてください。

Stripe:高いカスタマイズ性と開発者フレンドリーな環境

開発者向けの豊富なドキュメントと柔軟なAPI連携により、カスタマイズ性の高さが魅力です。135以上の通貨と多くの言語に対応しており、最新の決済機能も積極的に取り入れています。スタートアップから大企業まで、幅広い層に利用されています。

PayPal:圧倒的な世界シェアとブランド力

世界中で4億人以上のユーザーを持つ、最も有名なオンライン決済サービスの一つです。その高い知名度と信頼性から、海外顧客にも安心して利用してもらいやすいでしょう。「PayPal」アカウントを使ったスムーズな決済が可能です。導入も比較的容易です。

GMOペイメントゲートウェイ:国内実績豊富で多様な決済手段に対応

日本国内での導入実績が非常に豊富で、信頼性の高いサービスです。クレジットカード決済はもちろん、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済など、日本独自の多様な決済手段にも対応している点が強みです。国内企業向けのサポート体制も充実しています。

SBペイメントサービス:ソフトバンクグループによる信頼性とサポート

ソフトバンクグループの一員として、高いセキュリティレベルと安定したサービス提供が期待できます。GMOペイメントゲートウェイと同様に、国内で利用される様々な決済手段に対応しており、ECサイトだけでなく実店舗向けの決済ソリューションも提供しています。

これらのサービス以外にも、特定のECプラットフォーム(Shopifyなど)に特化した決済サービスや、特定地域(アジアなど)に強みを持つサービスもあります。手数料体系、対応範囲、サポート体制などを十分に比較検討し、自社に最適なパートナーを選びましょう。無料トライアル期間などを活用するのも有効です。

決済フォームだけでは不十分?Webサイト全体の多言語化が効果的な理由

多言語決済フォームの導入は、海外売上向上のための重要な一歩ですが、それだけで十分とは言えません。より大きな成果を目指すなら、Webサイト全体の多言語化を視野に入れることが強く推奨されます。

一貫した顧客体験を提供するために

たとえ決済フォームが多言語対応していても、そこに至るまでの商品詳細ページやカート画面、あるいは購入後のマイページなどが日本語のままでは、顧客は戸惑い、不安を感じてしまうかもしれません。サイト全体で言語を統一することで、顧客はストレスなく情報を収集し、安心して購入プロセスを進めることができるようになります。これが、一貫した質の高い顧客体験の提供に繋がるのです。

商品情報やサポート体制も多言語で伝える重要性

特に、商品のスペック、利用方法、送料、返品・交換ポリシー、よくある質問(FAQ)といった情報は、顧客が購入を判断する上で非常に重要です。これらの情報が母国語で分かりやすく提供されていることは、顧客の疑問や不安を解消し、購入の後押しとなります。また、問い合わせ窓口やサポート体制についても多言語で案内があれば、購入後の顧客満足度向上にも貢献するでしょう。

多言語SEOで海外からの集客を強化

Webサイト全体を多言語化し、各言語ページが検索エンジンに正しく認識されるように設定(多言語SEO)することで、海外からの検索流入を増やすことが期待できます。例えば、「英語で検索している潜在顧客」に対して、英語のページを検索結果に表示させることが可能になります。これにより、広告だけに頼らない、持続的な海外集客チャネルを構築できるようになるのです。

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Webサイト全体の多言語化は、専門的な知識や手間がかかる作業です。しかし、近年では、既存のWebサイトに後から導入できる便利な多言語化サービスが登場しています。ここでは、手軽に導入できる多言語化サービスをいくつかご紹介します。

Autolingual(オートリンガル)

Autolingualは、株式会社Enjuが提供するサイト多言語化サービスです。どんなサイト形式であれ、web上に掲載されているものであれば、既存のサイトに数行のスプリクトタグを埋め込むことで簡単に多言語サイトにすることができます。最大130言語という対応言語数の豊富さやウェブサイト特有の表現を学習させた最新AIによる高精度な翻訳が多くな特徴です。また、業界特有の専門用語の翻訳に対応するための辞書登録機能や言語別URL機能による多言語SEO対策など、様々な機能を備えており、大企業から個人経営者まで多くの企業に利用されています。

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まとめ:多言語決済フォームで越境EC成功の第一歩を

多言語決済フォームの導入は、もはや特別なことではなく、グローバル市場でビジネスを展開する上で不可欠な要素となっています。越境ECの波に乗り、海外顧客を獲得するためには、言語の壁を取り払い、誰もがスムーズに購入できる環境を整えることが、売上向上と顧客満足度アップへの確実な道筋となるでしょう。

導入にあたっては、決済代行サービスの活用や自社開発といった方法がありますが、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社のリソースや目標に合わせて最適な選択をすることが重要です。また、対応言語や通貨の選定、翻訳の品質確保、そして何よりもセキュリティ対策といったポイントをしっかりと押さえる必要があります。

さらに一歩進んで、決済フォームだけでなくWebサイト全体の多言語化を実現すれば、顧客体験は飛躍的に向上し、多言語SEOによる集客効果も期待できます。AutolingualやWOVNといった多言語化サービスは、その実現を力強くサポートしてくれるはずです。

本記事が、貴社の多言語対応への取り組みを後押しし、グローバルビジネスにおける成功の一助となれば幸いです。