2025/4/7

(最新版)Webサイトの多言語化とは?方法・手順も解説

(最新版)Webサイトの多言語化とは?方法・手順も解説

グローバル化が進む現代において、海外市場への展開やインバウンド需要の取り込みは、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。その第一歩として注目されるのが「Webサイトの多言語化」です。しかし、「何から始めればいいの?」「費用はどれくらい?」「注意すべき点は?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。 この記事では、Webサイト多言語化の基本から、具体的な進め方、注意点、さらにはおすすめの多言語化サービスまで、網羅的に解説していきます。この記事を読めば、自社に最適な多言語化戦略を描けるようになるはずです。

Webサイト多言語化とは

そもそもWebサイト多言語化とは何を指すのでしょうか。ここでは、その定義からメリット・デメリット、そしてなぜ今重要視されているのかを解説します。

Webサイト多言語化の定義

Webサイト多言語化とは、単に日本語のWebサイトを他の言語に翻訳することだけではありません。Webサイトに訪れる様々な言語圏のユーザーが、母国語または理解できる言語で情報をスムーズに得られるように、サイト全体を最適化することを指します。具体的には、テキストコンテンツの翻訳はもちろん、画像内の文字、ナビゲーション、さらには特定の文化に合わせた表現の調整なども含まれるでしょう。これにより、言語の壁を越えてより多くのユーザーにアプローチできるようになります。

Webサイトを多言語化するメリット・デメリット

Webサイトを多言語化することには、大きなメリットがある一方、考慮すべきデメリットも存在します。

メリット:

  • 海外市場へのアクセス:新たな顧客層を開拓し、ビジネスチャンスを広げられます。
  • インバウンド需要の獲得: 訪日外国人観光客への情報提供を強化し、集客や売上向上につなげることが期待できるでしょう。
  • 企業ブランディング向上:グローバル展開している企業としての信頼性や先進性をアピールできます。
  • 競合との差別化: 多言語対応が遅れている競合他社に対して優位性を持つことができます。

デメリット:

  • コスト発生: 翻訳費用(初期・更新)、システム導入費用、運用管理費用などが発生します。
  • 翻訳品質の維持: 機械翻訳だけでは不自然になる場合があり、専門家による翻訳やチェックが必要になることも。品質管理の手間がかかるかもしれません。
  • 運用・管理の複雑化: 対応言語が増えるほど、コンテンツの更新や修正、問い合わせ対応などの運用負荷が増大する可能性があります。
  • 文化・法規制への対応: 各国の文化、習慣、法律に合わせたコンテンツ調整が必要となる場合があります。

Webサイトの多言語化が重要な理由

インターネットの普及により、世界中の情報に誰もがアクセスできる時代になりました。このような状況下でWebサイトを多言語化することは、単なる選択肢ではなく、持続的な成長を目指す企業にとって戦略的な一手と言えるでしょう。国内市場の縮小が懸念される中、海外に活路を見出す動きは加速しています。また、インバウンド観光客の増加も、多言語での情報発信の重要性を高めています。多言語化は、こうしたビジネスチャンスを逃さず、グローバルな競争力を獲得するために不可欠な要素なのです。

多言語化する際のステップ

Webサイトの多言語化を成功させるためには、計画的にステップを踏むことが重要です。ここでは、具体的な進め方を5つのステップに分けて解説します。

多言語対応する目的確認する

まず最初に、「なぜ多言語化するのか」という目的を明確にしましょう。「海外売上を〇%向上させる」「特定の国からの問い合わせ数を〇件増やす」「インバウンド客向けのサービス利用率を上げる」など、具体的な目標を設定することが重要です。目的が明確であれば、どの言語に対応すべきか、どのコンテンツを優先的に翻訳すべきかといった、その後の判断基準が定まります。目的があいまいなまま進めると、効果測定も難しくなり、投資対効果の低い取り組みになってしまうかもしれません。

対応する言語を決める

次に、設定した目的に基づいて対応する言語を選定します。ターゲットとする国や地域の公用語はもちろん、ビジネスシーンで広く使われている言語(英語など)も候補となるでしょう。市場規模、競合の状況、ターゲットユーザーの言語使用状況などをリサーチし、費用対効果を考慮しながら優先順位をつけることが大切です。いきなり多くの言語に対応するのではなく、まずは主要な言語から始め、効果を見ながら段階的に追加していくアプローチも有効と考えられます。

どこを多言語対応するのか決める

Webサイトの全てのページを多言語化する必要があるとは限りません。目的達成のために、どのコンテンツを翻訳・最適化するのか範囲を決定しましょう。例えば、海外販売が目的なら商品情報や購入ページ、インバウンド集客が目的ならアクセス情報やサービス紹介ページなどが優先されるでしょう。全てのページを翻訳するとなるとコストも時間もかかります。まずは必要最低限の範囲からスタートし、ユーザーの反応やアクセス状況を見ながら、徐々に対応範囲を広げていくのが現実的な進め方と言えます。

デザインを修正する

言語が変わると、文字数や文章の長さが大きく変動することがあります。特に、日本語から他の言語に翻訳した場合、テキストが長くなりがちです。そのため、元のデザインのままでは、レイアウト崩れが発生する可能性があります。各言語に合わせて、文字サイズ、行間、ボタンの大きさなどを調整し、どの言語でも見やすく、使いやすいデザインに修正する必要があるでしょう。また、国によっては好まれる色使いやデザインテイストが異なる場合もあるため、文化的な配慮も求められます。

海外SEO対策を行う

せっかく多言語サイトを作成しても、ターゲットとする国のユーザーに見つけてもらえなければ意味がありません。そのため、海外向けのSEO対策が不可欠です。具体的には、Googleなどの検索エンジンに、サイトが複数の言語に対応していることを正しく伝えるhreflang属性の設定や、ターゲット言語でのキーワード調査に基づいたコンテンツ最適化などが挙げられます。また、URL構造を言語ごとにどうするか(サブドメイン、サブディレクトリなど)も、SEOの観点から検討すべき重要なポイントとなるでしょう。

関連記事:海外SEO対策とは?基本から実践手順、注意点まで徹底解説

多言語サイトの運用

多言語サイトは、公開して終わりというわけではありません。むしろ、公開後の継続的な運用こそが、その真価を発揮させるための鍵と言えるでしょう。なぜなら、情報の鮮度を保ち、ユーザーとの関係を築くことが、グローバルな成果に直結するからです。具体的には、新製品の情報やキャンペーン告知などを各言語でタイムリーに更新し続ける必要がありますし、海外からの問い合わせにも迅速かつ丁寧に対応できる体制構築も不可欠です。こうした地道な運用を通じて、サイトは常に生き生きとし、ユーザーにとって価値ある存在であり続けることができるのです。

サイトを多言語化する際に注意すべきこと

Webサイトの多言語化を進める上では、いくつか注意すべき点があります。これらを事前に把握しておくことで、失敗のリスクを減らし、より効果的な多言語サイトを構築・運用できるようになります。

機械翻訳に任せっきりではだめ、だけどAI翻訳は進化している?

コスト削減やスピードの観点から機械翻訳は魅力的ですが、完全に任せきりにするのは危険です。特に、専門用語が多いコンテンツや、企業のブランドイメージに関わる重要なメッセージなどは、不自然な翻訳や誤訳が生じるリスクがあります。

しかし、近年のAI翻訳技術の進化は目覚ましく、特定の分野や文脈に最適化されたエンジンも登場しています。AI翻訳をベースにしつつ、重要な箇所は人力でのチェックや修正(ポストエディット)を行うなど、ハイブリッドなアプローチが現実的かつ効果的と言えるでしょう。

言語切り替えボタンをわかりやすく

ユーザーが目的の言語に簡単に切り替えられるよう、言語切り替えボタン(ランゲージスイッチャー)のデザインと配置は非常に重要です。一般的には、ヘッダーの右上など、サイト訪問者が直感的に見つけやすい場所に設置されます。国旗アイコンや言語名(例:「English」「日本語」)を併記するなど、誰にでも分かりやすいデザインを心がけましょう。ユーザーが言語選択で迷ってしまうと、サイトから離脱してしまう原因にもなりかねません。

関連記事:Webサイトの多言語化はこうやる!言語切り替えボタンの実装について

国の文化や規制に合わせることを心掛ける

言語だけでなく、ターゲットとする国の文化、習慣、宗教、さらには法律や規制にも配慮する(ローカライゼーション)が必要です。日本では問題ない表現やデザイン、画像が、他の国では不適切、あるいは誤解を招く可能性があります。例えば、色使い、数字の表記、人物写真の選定など、細部にわたる注意が求められるでしょう。また、個人情報保護に関する規制(EUのGDPRなど)も国によって異なるため、プライバシーポリシーなども各言語で適切に用意する必要があります。

お問い合わせ対応について検討する

Webサイトを多言語化すると、当然ながら海外ユーザーからの問い合わせが増える可能性があります。その際に、問い合わせに対応できる言語のスタッフがいるか、翻訳ツールなどを活用して対応するのかなど、サポート体制を事前に検討しておくことが重要です。せっかくサイトを訪れて興味を持ってもらっても、問い合わせへの対応が不十分では、顧客満足度を下げてしまうことになりかねません。FAQ(よくある質問)を各言語で充実させておくことも有効な対策となるでしょう。

多言語化の効果を可視化して定期的に見直す

多言語サイトの効果を最大限に引き出すためには、定期的な効果測定と見直しが欠かせません。なぜなら、市場やユーザーのニーズは常に変化しており、それに対応しなければ投資が無駄になりかねないからです。アクセス解析ツールを用いて、言語ごとのページビュー数、コンバージョン率、直帰率などをデータとして可視化しましょう。これらのデータを基に、当初設定した目標(KPI)の達成度を評価し、課題を特定します。そして、コンテンツの改善やプロモーション戦略の見直しといった具体的なアクションプランを策定・実行していく、このサイクルを回し続けることが成功への近道となるのです。

Webサイトを多言語する方法

Webサイトを多言語化するには、大きく分けて「自力で対応する」方法と、「多言語化サービスを利用する」方法があります。それぞれの特徴と、メリット・デメリットを見ていきましょう。

自力で対応する

自社内、あるいは外部の翻訳者や制作会社に依頼して、各言語のページを個別に作成・管理する方法です。

  • メリット: デザインやコンテンツの自由度が高い。 翻訳品質を細かくコントロールしやすい(特に人力翻訳の場合)。 既存のWebサイトの仕組みに大きく依存しない場合がある。
  • デメリット: 翻訳、ページ制作、システム構築などに時間とコストがかかる。特に多言語展開する場合、その負担は大きくなるでしょう。 コンテンツ更新の際、全言語で修正・反映が必要となり、運用負荷が高い。 専門知識(言語、Web制作、SEOなど)が必要となる。
  • 費用感: 翻訳費用(文字単価、ページ単価など)、Web制作費用、サーバー費用などがかかります。初期費用、運用費用ともに高額になる傾向があります。WordPressなどのCMSを利用する場合、多言語化プラグイン(無料・有料)を活用することで、コストを抑えつつ自力での構築・管理も可能です。

webサイトを自力で多言語化する方法について知りたい方は↓をクリック

Webサイトの多言語化はこうやる!言語切り替えボタンの実装例&おすすめツール紹介

多言語化サービスを利用する

専用のツールやプラットフォームを利用して、既存のWebサイトに多言語機能を追加する方法です。近年主流になりつつあります。

  • メリット: 既存サイトにスクリプトタグを埋め込むだけで、比較的短期間・低コストで導入できることが多い。 AI翻訳などを活用し、翻訳作業の手間を大幅に削減できる。 元サイトの更新が自動的に翻訳サイトへ反映されるなど、運用管理が効率化される。 専門知識がなくても導入・運用しやすいサービスが多い。
  • デメリット: サービスによってはデザインのカスタマイズ性に制限がある場合がある。 AI翻訳の精度にばらつきがある可能性があり、人力での修正機能の有無や使い勝手が重要になる。 月額費用などのランニングコストが発生する。
  • 費用感: 初期費用は無料~数十万円、月額費用は数千円~数十万円程度と、サービスや機能、サイト規模によって幅があります。自力対応に比べ、初期費用や運用負荷を抑えられるケースが多いと言えるでしょう。

おすすめのサイト多言語化サービスをご紹介!

Autolingual(オートリンガル)

株式会社Enjuが提供するWebサイト多言語化サービスです。大きな特徴は、数行のスクリプトタグを埋め込むだけで、既存サイトを迅速に多言語化できる手軽さでしょう。Webサイト特有の表現に最適化された最新のAI翻訳エンジンにより、webサイトに特化した高精度な翻訳が実現可能です。また固有名詞に対応するための辞書機能や言語別URL機能による海外SEO対策などさまざまな機能を備えており、大企業はもちろん、中小企業や個人事業者まで幅広く活用できる多言語化SaaSと言えます。

関連記事:

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まとめ

Webサイトの多言語化は、グローバル市場への進出やインバウンド需要の取り込みにおいて、非常に有効な戦略です。その重要性は今後ますます高まっていくでしょう。

多言語化を進める際は、まず「なぜ多言語化するのか」という目的を明確にし、ターゲット言語や対応範囲を慎重に決定することが重要です。その上で、自社のリソースや予算、求める翻訳品質、運用体制などを考慮し、「自力で対応する」のか「多言語化サービスを利用する」のか、最適な方法を選択しましょう。

今回ご紹介した注意点やSEO対策のポイント、そして多言語化サービスの情報などを参考に、ぜひ自社サイトの多言語化を検討してみてはいかがでしょうか。適切なステップを踏むことで、言語の壁を越え、新たなビジネスチャンスを掴むことができるはずです。