越境ECを成功させるには?多言語サイトの作り方や事例を徹底解説!

インターネットを通じて海外にも商品を販売する「越境EC」が注目を集める中、自社のECサイトを多言語対応にする企業が増えています。言語の壁を取り除くことで、世界中のユーザーに商品やサービスの魅力を正しく伝え、販路を拡大することが可能になります。本記事では、多言語サイトの作り方から翻訳方法、そして多言語事例まで、越境EC成功のために押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
越境ECとは?
越境ECとは、自国以外の国や地域に向けて商品やサービスを販売する「国際的なEC(電子商取引)」を指します。日本国内から海外の消費者へ、ECサイトを通じて商品を届けることで、新たな市場への進出が可能となります。特に近年では、インターネットと物流インフラの進化により、中小企業や個人でも越境ECに挑戦しやすい環境が整ってきました。

”令和五年度電子商取引に関する市場調査報告書”より引用
上の図から分かる通り、中国と米国の二大マーケットで、日本商品における需要はとても多く、今後とも伸びていくことが予想されます。アジア圏の日本製品への需要や、欧米市場での独自ブランド展開など、越境ECはビジネスのグローバル展開において欠かせない戦略のひとつとなっています。
越境ECの市場規模と対応すべき理由
越境ECの市場規模は年々拡大しており、2024年時点では世界全体で6兆ドルを超えると予測されています。下の図にあるように、今後世界のEC市場は勢いそのまま拡大していくため、少子高齢化により自国のマーケットが縮小傾向にある日本企業にとっては大きなビジネスチャンスが広がっています。

”日本貿易分析機構”より引用
この流れに対応するためには、「ECサイトの多言語化」が必須です。商品説明や決済画面、カスタマーサポートの情報が現地の言語で提供されていなければ、ユーザーは購入に至らず、機会損失につながる可能性があります。
したがって、越境ECを本格的に展開するには、「多言語サイトの作り方」や「言語切り替えボタンの設置」といった技術的な対応を、戦略的に進める必要があります。
ECサイトの多言語対応を実施する上で注意すべきこと
ホームページを多言語対応にする場合、単に翻訳するだけでは不十分です。各国・地域の文化、商習慣、法規制を理解したうえで、コンテンツやUI設計を調整する必要があります。たとえば、欧米とアジアでは通貨表示の仕方や配送オプションの優先度が異なることもあります。
また、SEO対策として各言語ごとにURLを分ける「hreflangタグ」の設定も重要です。これにより、ユーザーが使用している言語に適したページが検索結果に表示されやすくなります。
1.対応する言語を選定する
すべての言語に対応するのは現実的ではありません。まずは自社商品の人気が高い、または今後の成長が見込まれる国・地域をターゲットに言語を選定しましょう。たとえば、アジア向けなら中国語(簡体字/繁体字)やベトナム語、英語圏を狙うならアメリカ英語、ヨーロッパ向けならフランス語・ドイツ語などが候補になります。
Google AnalyticsやSNS分析などを活用して、実際にアクセスの多い国から順に対応すると効果的です。
2.ブランドイメージに合わせた翻訳をする
直訳や機械翻訳だけでは、ブランドの魅力が正確に伝わらないこともあります。たとえば「高品質」「こだわり」など、日本語では伝わりやすい価値が、他言語では意味が曖昧になるケースも。
そのため、翻訳は「ローカライズ(現地化)」の視点で行いましょう。ブランドイメージを壊さず、現地ユーザーに響く表現に置き換えることで、信頼感を高め、購入率の向上にもつながります。
3.無理に他言語に変える必要がない場合もある
すべてのECサイトにおいて、多言語化が最優先とは限りません。たとえば日本在住の外国人をターゲットにしている場合は、英語や中国語だけでも十分です。
また、商品やサービスの特性上、海外市場との相性が悪い場合もあります。コストやリソースとのバランスを考慮し、「本当に今、多言語化が必要か?」を見極めることも重要です。
4.言語切替ボタンや問い合わせ先などを明確にする
多言語サイトでよくある失敗が、「言語切替がわかりにくい」「問い合わせ先が日本語のみ」というケースです。ユーザーが迷わず言語を切り替えられるよう、グローバルナビゲーション上にプルダウン形式の言語切替ボタンを設置しましょう。
また、問い合わせフォームやFAQも対象言語に対応させておくと、カスタマー対応の効率化にもつながります。これにより、信頼性の高い多言語ECサイトを実現できます
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Webサイトの多言語化はこうやる!言語切り替えボタンの実装例&おすすめツール紹介
越境EC翻訳で失敗しないための注意点

越境ECサイトの多言語化において、「翻訳」は中核をなす作業です。しかし、この翻訳プロセスでつまずくと、せっかくの海外展開が期待した効果を生まないばかりか、かえってブランドイメージを損なうことにもなりかねません。ここでは、翻訳作業で失敗しないために押さえておくべき重要な注意点を5つ解説します。
1.販売ターゲット国の言語と文化を正確に把握する
ただ単語を置き換えるだけの翻訳では、現地のユーザーには響きません。ターゲットとする国の言語はもちろん、その背景にある文化、習慣、価値観、さらには避けるべきタブーなどを深く理解することが不可欠です。例えば、色使いやシンボル、ユーモアのセンスなどは国によって大きく異なります。現地の人々が自然に受け入れられる「ローカライズされた翻訳」を目指すことが、信頼獲得への第一歩となるでしょう。
2.誤訳・訳抜けを防ぐためのチェック体制を整える
機械翻訳の精度は向上していますが、まだ完璧ではありません。特に、商品名、キャッチコピー、専門用語、あるいは否定形や複雑な構文などで誤訳や訳抜けが発生する可能性があります。致命的な間違いを防ぐためには、機械翻訳だけに頼らず、必ずネイティブスピーカーや翻訳の専門家によるチェック(校正・校閲)工程を設けるべきです。二重、三重のチェック体制を構築することで、翻訳品質を担保できるようになります。
3.費用対効果を意識した翻訳範囲を見極める
ECサイトの場合、一般的な企業のホームページと比べて、コンテンツ数は数倍~数百倍にのぼります。よってサイト内のすべてのコンテンツを完璧に翻訳しようとすると、莫大なコストと時間がかかってしまいます。越境ECを始めるにあたっては、費用対効果を意識することが重要です。まずは、商品説明、購入プロセス、FAQ、会社概要といった、ユーザーが購入を決定する上で最低限必要な情報から翻訳に着手しましょう。アクセス解析などを参考に、どのページから翻訳を進めるか優先順位をつけ、段階的に翻訳範囲を広げていくのが現実的なアプローチと言えるでしょう。
ブランドイメージに沿った表現かを常に確認する
翻訳は、単に情報を伝えるだけでなく、企業のブランドイメージを伝える重要な役割も担います。丁寧な言葉遣いを重視するのか、フレンドリーなトーンを打ち出すのか、ブランドとしての一貫した「声(トーン&マナー)」を各言語で維持することが求められます。翻訳者や翻訳ツールを選ぶ際には、自社のブランドイメージを共有し、それに沿った表現ができるかどうかを確認することが大切です。
現地の法規制や表記ルールを確認しておく
国によっては、広告表現や商品説明に関する独自の法律・規制(日本の薬機法や景表法にあたるもの)が存在します。また、衣料品のサイズ表記(S/M/L、インチ/センチ)、通貨、日付、住所の書き方なども国によって異なります。これらのルールを無視すると、法的なトラブルに発展したり、ユーザーに誤解を与えたりする可能性があります。翻訳作業と並行して、現地の法規制や表記ルールをしっかりと調査し、サイトに反映させることが不可欠です。
ECサイトの多言語対応の方法

ECサイトを多言語対応させる方法は複数あります。それぞれにメリット・デメリットがあり、徹底的に比較した上で、自社の予算や目的、運用体制に応じた選択が必要です。
1.自社で多言語対応する
まず1つ目の方法は、社内のリソースを活用して独自に翻訳・実装を行うアプローチです。
社内にネイティブスピーカーや語学堪能なスタッフ、あるいはシステム開発に長けたエンジニアがいる場合、外部に支払う外注費を事実上ゼロにできるのが最大の利点です。自社の製品やブランドストーリーを最も深く理解している社員が翻訳を手掛けるため、ブランドのトーン&マナーを維持しやすいという側面も持ち合わせています。時間をかけてノウハウを社内に蓄積していきたい企業にとっては、長期的な財産になるでしょう。
しかし、ECサイト特有の膨大な商品データの翻訳をすべて自社で行うには、途方もない時間がかかってしまうかもしれません。通常のコーポレートサイトとは異なり、ECサイトは新商品の追加や在庫状況の変更、セール情報の更新などが頻繁に発生するからです。結果として、翻訳作業に追われて本来のマーケティング業務が疎かになったり、見えない人件費が高くついてしまったりするリスクも考慮しておくべき課題となります。
2.翻訳会社やサイト制作会社に依頼する
2つ目は、多言語サイト構築やローカライズのプロフェッショナルである外部企業に丸ごと依頼する方法です。
専門業者に依頼する最大の理由は、現地のニュアンスに合わせた自然な翻訳と、ターゲット国の検索エンジンに最適化された海外SEO対策をプロ目線で行ってくれる点にあります。一例として、高級ブランドや独自の専門用語が多い商材を扱うECサイトでは、少しでも不自然な翻訳があるとユーザーの信頼を損ない、離脱率の増加に直結してしまいます。現地の文化や習慣に寄り添った「売れるための翻訳(ローカライズ)」を実現できるのは、プロに委託するからこその強みと言えるはずです。
ただし、数百万円規模の初期費用と、長期間の開発プロセスが必要になることは覚悟しなければなりません。また、サイト公開後も新商品を追加するたびに翻訳の外注費とタイムラグが発生します。そのため、十分な予算が確保できており、中長期的な視点で海外市場での売上基盤を確立したい企業向けの手法となります。
3.多言語化サービスを利用する
3つ目は、既存のECサイトに多言語化ツール(アプリや拡張機能、SaaS型サービスなど)を導入する方法です。
外部委託よりも費用を抑える形で運用できる点や導入が比較的容易な点、海外SEO対応含めた機能性が高い点が強みと言えるでしょう。そして何より、日本語のECサイトの更新と多言語サイトの更新を連動させることができる点が最大のメリットと言えるでしょう。日本語版ECの更新の際は、新規ページの翻訳を簡単にチェックするだけで、多言語版サイトの更新作業は完了します。また、ECサイトのページがとても多い場合、重要なページだけを翻訳対象とし、市場の反応を見てページや対応言語数を増やしていくという柔軟な運用ができる点も大きな魅力です。
手軽である反面、翻訳以外のローカライズが難しい点がデメリットと言えるでしょう。多言語サービスだと、どうしても日本語版がベースとなるため、デザインやレイアウトなどの根本的なローカライズは限定的となります。
状況に合わせた多言語対応の手法の最適解とは??
1~3の方法を解説していきましたが、予算や自社の状況によって最適解が異なります。言語ネイティブやエンジニア含めて社内に十分なリソースがある企業であれば、自社で対応するのが一番スピーディかつ高クオリティに多言語対応を実現できます。社内のリソースは限られているが、予算が数年単位で十分に確保されている場合は、制作会社に外部委託することが推奨されます。
しかしながら、1や2を即選択・実行できる企業は、それほど多くありません。一定の予算内で効果を最大しつつ、対応範囲を柔軟に変更できる多言語ツールという選択肢は、予算が限られている企業だけではなく、リソースや予算が十分にある企業にも検討余地があるものと言えます。
サイト多言語化の事例について
これまで見てきたように、サイトの多言語対応には複数のステップや注意点があります。そのようなポイントを押さえて、実際にサイトを多言語化した事例をご紹介します。
株式会社宮地商会
都内を中心に40以上の音楽教室と複数の楽器店を展開する宮地商会様では、楽器サイトを4言語に対応させています。同社の楽器店には、以前から中国・シンガポール・マレーシアといったアジア系のインバウンド顧客が多く続いていました。
そんな中、楽器サイトを英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の4言語に多言語対応させることで、楽器の購入を検討している海外からのお客様に対してしっかり情報を届けることができる体制を整えました。

詳しくは、「インバウンド需要を逃さない。音楽のプロが選んだ、店舗来客のための多言語化対応」
MONOVATE株式会社
「ステンレス容器」の製造・販売を行っているMONOVATE様では、製品サイトを3言語対応しています。
同社の海外市場における取引は、以前は販売代理店経由が中心でした。しかし近年は、日本国内と同様にWebを起点とした集客に力を入れており、製品情報をもれなく多言語で発信することが必要でした。
そんな中、製品サイトを、日本語のサイトをベースに英語・中国語(簡体字・繁体字)の3言語に対応することで、海外からのお客様に対しても充実したコンテンツを提供する体制ができました。

詳しくは、「自社製ステンレス容器の海外展開を加速する。機能性とコストの「最適解」としてのAutolingual」
三条市立大学
新潟県三条市にある三条市立大学様では、大学ホームページを2言語対応しています。同大学では国際交流の取り組みを活発化させていく方針を掲げていましたが、Webサイトは日本語ののみの対応でした。
そんな中、大学ページを英語・簡体字の2言語に多言語対応することで、海外へのブランディング向上の一環として、国外に向けた情報発信を強化しました。

詳しくは、「国内外の認知拡大へ。Autolingualを活用したスピード感と品質を担保した上での大学サイトの多言語化戦略」
まとめ
本記事では、ECサイトにおける多言語の重要性から、多言語化の方法や具体的事例までを紹介しました。越境ECの市場は今後ますます成長が見込まれ、「ホームページの多言語対応」は、売上拡大において欠かせない要素です。ただ翻訳するだけでなく、ターゲット国や文化、ブランド戦略を踏まえた“戦略的な多言語化”が求められます。
多言語対応の方法はさまざまありますが、自社にあった手法を選択することが、多言語化成功の一番の近道です。その中でも、品質と費用の抑制を両立できる多言語化サービスは、現実的な選択肢となりえます。
これから越境ECに取り組む方は、ぜひ多言語対応を戦略のひとつとして検討してみてください。
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